Q老健でのリハビリ方法が難しいです
- 2025年11月27日
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A:老健での認知症の方のリハビリは、「これをやればOK」という決まったメニューがなく、私たち専門職も悩みやすいところだと思います。
最近の研究やWHOのガイドラインでは、老健などの施設における認知症リハビリは、
①身体活動(運動)
②認知刺激(CSTなど)
③作業・役割活動(生活行為を使ったリハ)
④環境調整・関わり方
の4つを組み合わせる「生活+多職種リハ」が推奨されています。
① 身体リハビリ(運動):バランス・歩行・ADLを守る軸
長期療養施設や老健の入所者(多くが認知症)に対して、
週2〜3回、筋力・バランス・歩行を中心にした運動プログラムを行うと、ADLやバランス、筋力が改善する という報告があります。
具体的には:
いす立ち上がり練習
平行棒・手すりを使った歩行練習
片脚立ちやステップなどのバランストレーニング
段差昇降・方向転換練習
などを、15〜30分程度を短時間×頻回 で取り入れると、「座りっぱなし」時間を減らすだけでも機能維持に効果があるとされています。
② 認知刺激(CSTなど):認知機能・生活の質を支える
世界的にエビデンスのあるのが、Cognitive Stimulation Therapy(CST:認知刺激療法) です。
14回の小グループセッションで、
見当識
言葉遊び
簡単な計算
絵や写真を使った話題などを行ったところ、認知機能とQOLが向上した とするRCTが複数あります。
老健で応用する場合は、完全集団CSTでなくてもOKで、
例えば:
週1〜2回、30〜45分程度の「認知・会話グループ」
テーマ例:
今日の日付・天気・ニュース
昔の生活(仕事・家事・趣味)の話
写真カードを見て名前を言う・連想する
計算・ことば遊び(しりとり、漢字、ことわざ)
などを、「クイズ感覚」「楽しい場」として継続することで、認知機能や行動症状の改善が報告されています。
③ 作業・役割ベースのアプローチ(OT的な視点)
作業療法や作業ベースのプログラムは、
「その人にとって意味のある作業(役割)」に関わってもらうことで、ADL・QOL・行動症状を改善しうるとする研究が増えています。
老健でできる例としては:
これまでの職業や家事に近い作業
書類の仕分け・スタンプ押し
タオルたたみ、テーブル拭き
洗濯物をハンガーにかける
回想+作業
昔の写真を見ながらアルバム作り
折り紙・手工芸をしながら昔話を聞く
「ただ運動する」のではなく、“役割がある活動”にしていくほど効果が高いとされています。
④ 生活場面に組み込む「生活リハ」
最近のリハ研究では、リハビリ室の時間だけでなく、日常生活すべてを「リハの時間」にすることで機能回復が高まるという考え方が示されています。
老健では、
食事前後の移乗・立位・歩行を「ミニ訓練」にする
トイレ・口腔ケア・更衣などを「できる部分は自分でやってもらう」
その際に 一緒に立ち上がる、手がけを少し減らす など、「安全を確保しながら負荷を少しだけ上げる」工夫をする
といった “生活リハビリ” を多職種で共有していくことが大事だと言われています。

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